私と理論

数学の話を主に書きます

2023年振り返り

去年に続いて2023年の振り返りをします. 特に有益な情報はなさそうです.

博士号取得

博士号とりました.詳細は別の記事に書いてます. theory-and-me.hatenablog.com

博士号取ったことによって人生はあまり変わっていませんが,長年の懸念事項が解消するのは気分が良いです.

仕事

論文に関してはAAAIという国際会議に2本論文が通りました(うち1本が主著). 長いコロナ期間を経て久々に現地出張で発表できるので楽しみです.

主著の論文の方は,2年前くらいに研究テーマの方向性を変えてから初めてそのテーマで通った論文です. とりあえずこれがアクセプトされたことで新しい研究テーマの第一歩が踏み出せたという実感があり,ほっとしています. 多くの論文ってアクセプトされる頃にはこれ自明かもしれんな〜と自信がなくなりがちですが,この論文については未だに自信満々です. 日常生活に結びついたキャッチーさと数学的な深さが絶妙なバランスで融合しています(自画自賛). 良ければ読んでみてください.

論文以外では,OR学会の研究部会で2時間くらい喋ったり,人工知能学会全国大会の委員をやったり,大阪大学の非常勤講師をしたりと対外的な新しい仕事ができたのが良かったです.自分は社外に対するコネが弱いなと思うことがあるので,来年も積極的に外部と関わっていきたいですね.

競プロ (AHC)

2089→2189 でした.見事に停滞してますね… 周りのレベルが上がっているというのはもちろんあるのですが,今年のコンテストでは当たりの方針をあまり引けなかったと感じています. 引き出しがまだまだ足りないのと,順位表からうまく情報を拾えていないのが原因かもしれません.

とはいえ Asprova コンやトヨタオンサイトで割と良い順位がとれたのは良かったです. 特にトヨタオンサイトは,初めての方々にたくさん会うこともできて楽しかったです.

今年はマスターズというチーム戦もあるので成功したいですね… 今年はもっとAHC精進します.

旅行(ビール)

博士号を頑張って取ったんだし今年は一杯遊んでいいだろう,コロナで全然海外行けなかったし海外でビール飲みたいということで,台湾とヨーロッパにビールに行きました.

ヨーロッパのことは別記事に書きました.端的にいうと最高でした. theory-and-me.hatenablog.com

台湾のビールは最近日本でもかなり流行っていて,最近だと代々木にXIXI TOKYOができたりしてます. フルーツ系で酸っぱいビールが多く,僕はこういうタイプはあまり好きではないのですが,まあ行ったら分かることもあるだろうということでとりあえずGO. 結果としてはとても良かったです. ビールは勿論,食事も美味しいのが重要ですね.

あと台湾は野球観戦がめちゃくちゃ楽しいので是非行った方がよいです.応援歌がカッコ良すぎる.

台湾とヨーロッパに行ったことで満たされたかというと実はそんなこともなく,寧ろもっと海外に行きたくなってしまいました… 次はダブリンでギネス・アイラ島ウイスキー・スペインでワインのいずれかで! 同行者募集してます.

今年の目標の振り返りと来年の目標

2023年の目標

  • AHC 橙 → 狙ったけど達成できず
  • Kaggle やる 一つのコンペでもいいからフルで参加する → 達成できず この目標の存在を忘れていた
  • オンライン英会話をとりあえず3ヶ月は継続する → 達成できず この目標の存在を忘れていた
  • チェコでウルケルを飲む → 達成!飲みまくった
  • 雀聖2になる → 達成できず 途中まで順調だったけど,今年の後半にやべー下振れを引いて大変なことに 打数も足りてなさそう

昨年に引き続きこいつ何も目標達成してないな.

2024年の目標

  • トップカンファレンスに論文2本以上
  • AHC 橙
  • Kaggle やる 一つのコンペでもいいからフルで参加する
  • オンライン英会話をとりあえず3ヶ月は継続する
  • 雀聖2になる

印象に残った本,印象に残った映画

ネタバレ注意.

  • 悪魔の選択(フレデリック・フォーサイス,1982)
    今年読んで一番面白かった本. ソ連で発生した穀物危機を発端に,ヨーロッパ戦争危機・KGB議長暗殺・テロリストによるタンカー占拠などを通してアメリカ・ソ連・ドイツ・オランダ・イスラエルウクライナの思惑が複雑に絡み合う.最後に笑うのは誰か? サスペンスとして単純に面白いし,自分が知らない冷戦時代を追体験できるという意味でも良い. めちゃくちゃオススメ.

  • 八つ墓村横溝正史,1971)
    今年読んで一番面白かった本2. 八つ墓村といえば映画が有名で,おどろおどろしい雰囲気の中で祟りが飛び交うオカルト・ミステリという印象だったんだけど,小説は全く異なる. 原作である小説版八つ墓村は,異世界転生ものであり,ハーレムものであり,冒険小説であり,爽やかな青春小説である. 映画しか見たことがない人はぜひ読んでみて欲しい. 八つ墓村がとても気に入ったので同じ横溝正史の「本陣殺人事件」「獄門島」を読んでみたけど,あまり好みではなかった. 自分はミステリに人間ドラマを求めていて,謎解きを求めていないんだと思う.

  • パラサイト・イヴ瀬名秀明,1995)
    昔から有名なホラーとして気になっていたので. 人類に抑圧されてきたミトコンドリアがブチ切れて反乱を起こす話. この時点で面白い. 終わり方があっさりだったのがちょっと残念. 著者が博士課程在学中に書いたという事実が一番のホラーかもしれない. 確かに言われてみれば研究者っぽい文章な気もする.

  • 邪魅の雫京極夏彦,2006)
    自分は京極夏彦百鬼夜行シリーズの大ファンで,特に「魍魎の匣」「鉄鼠の檻」「絡新婦の理」あたりは何回読んだか分からないくらい.しかし,シリーズ中唯一この本だけドロップアウトした(当時高校生).しかし17年ぶりに新作「鵺の碑」が出るとのことで一念発起,10年ぶり以上に挑戦した.が,結果としてめちゃくちゃつまらなかった.自分の読書史上一番つまらなかったまである.1000ページ近くにわたって,ぽっと出の特に魅力のないおじさんの辛気臭い独白を読まされるのは非常に厳しい.昔の百鬼夜行シリーズはあのとんでもない長さに十分に意味があったが,この本は半分くらいにした方が良いんじゃないかな…(それでも面白くないけど)

  • 鵺の碑(京極夏彦,2023)
    邪魅の雫」で嫌な予感がしていたが,気を取り直して新作であるこの本を読む.結果としてはこれもつまらなかった.大したことが起きるわけでもないのにページ数が多すぎるので,とても冗長に感じる.でもこれはもしかしたら僕が変わってしまったのかもしれない.というのも,論文という形式は冗長な文章を嫌い簡潔な文章を好むので,僕の脳もそれに最適化されてきている.昔の僕はもう少し冗長さを楽しめたのかな…とふと悲しくなったが,まあこの本が面白くないことは変わらない. 偶然見つけた「このミステリーがすごい!2024」で国内2位になってたけどみんなちゃんと読んでるんだろうか(今年が不作?). 京極堂たちの旧友らしい,ラノベに出てきそうな女性キャラが突然出てきて笑ってしまった. 百鬼夜行シリーズ,次のタイトルも決まっているらしいので,今度こそは面白い小説を読ませて欲しいな〜

  • 夜市(恒川光太郎,2008)
    有名なホラーの賞をとっていたのと友達に勧められたので. ホラーというより幻想小説っぽい. 文章が良い. 終わってしまえば本当にあったのかどうかよく分からなくなってしまうような夜の話. 同じ本に入っていた「風の古道」も良い.こっちの方が好きかも.

  • 推し、燃ゆ(宇佐見りん,2021)
    タイトルが面白かったので.推しを熱烈に推す女子高生の話.彼女の毎日の生きづらさの描写が苦しい. 正直,自分は主人公と思考も嗜好も環境も何もかも異なるので共感は全くなかったが,こういう人もいるんだなと勉強になった(?)

  • 消されかけた男(ブライアン・フリーマントル,1979)
    スパイもの.英国諜報部で干され気味の主人公スパイが,生き残るために奮闘する話. 最近(?)流行りの追放ものというのは普遍的なものなんだなと思う.見返したときのカタルシスがすごいので. しかしこの主人公は本当にやり過ぎで笑ってしまう. とても続編があるとは思えない終わり方をするのに続編があるらしく,読みたい.

映画

今年は映画をあまり見てないかもしれない.

  • 白いリボン(2009)
    第一次世界大戦直前のドイツの小さな村で発生する,不可解な事件の連続を描いた映画. 明確な答えは提示されず,渦巻く不穏と抑圧がじわじわと嫌な気分にさせてくれる. ドイツの歴史の中に位置付けて見ても良いし,普遍的な家族や隣人の物語として見ることもできる. 難しいけどとても面白い映画.

  • オオカミの家(2023)
    気になっていたので. 全編ストップモーションアニメ(ニャッキ!みたいなやつ)で描かれる悪夢. 映像は凄くて面白いんだけど,物語があまり大きく展開しないのと音声が催眠術っぽいことによりめちゃくちゃ眠くなった. 家でゴロゴロしながら見た方が気楽で良いかもしれない. 同時上映の短編「骨」もなかなか良かった.

  • ツィゴイネルワイゼン(1980)
    オオカミの家を見に行った時にリバイバル上映の宣伝をしていたので. 今年見て一番衝撃をうけた映画,説明が難しい. ストーリーはあるようなないような,登場人物は怪しいのばっかり,上映時間は2時間超え,なのにめちゃくちゃ面白いという謎の映画. それぞれのシーンの絵がとても強いんだと思う. あんなに大量にこんにゃくをちぎっている人を初めて見た.

  • 自殺サークル(2002)
    評判があんまり良くないけど個人的には面白かった枠. ROLLYが出てくるところは笑ってしまう.

ヨーロッパ・ビール🍻旅行記②

その①からの続きです.

4日目(ウィーン→プラハ

またもやY.Y.さんが早朝ランニングをしてビビります. ウィーンのホテルの朝食もクロワッサンがありましたが,あまり美味しくなくてテンションが下がる.

ベルヴェデーレ宮殿

午前中はベルヴェデーレ宮殿に行きます. ウィーン中央駅の近くにあるどデカい宮殿で,上宮と下宮,そしてその間の広大な庭園からなります. 上宮と下宮は美術館にもなっており,ここにもたくさんの有名な美術品が展示されていてます.

とりあえず荷物を預けてlet's go...と行きたかったのですが,なんとベルヴェデーレ宮殿は大きな荷物が預けられません. 仕方なく中央駅まで行ってロッカーに荷物を預けてタイムロスです.

気を取り直して上宮の見学をします. ここもたくさんの部屋が繋がる迷路のような建物で,それぞれの部屋に美術品が飾られています. ここで自分のウィーン訪問の目的の一つであるシーレの「死と乙女」を発見します. 写真可だったので撮りました.生で見ると大きさから来る迫力がありますね.

上宮の見学を終えて下宮の見学…とここで自分がチケットを失くしたことに気づきます. 上宮と下宮でチケットが一緒なんですよね…なぜこの一瞬で失くせるのか自分が怖い. 悲しいですがわざわざ買い直すほどではないのでY.Y.さんが見学するのを庭で待ちます. 暇だったのでベルヴェデーレ宮殿自撮りの練習とかしてました.

さて昼ご飯(またシュニッツェル)を食べて電車でプラハで移動します. 大体4時間くらいで着きます. 今回は相席だったので何となく気まずいです. ひたすら京極夏彦の鵼の碑を読んでました.

ウ・フレクー

プラハに着いたらホテルに荷物を置いてウ・フレクーに向かいます. ウ・フレクーとは歴史のあるプラハの有名な巨大なブルワリー+ビアホールです. なぜか妙にチェコに詳しい姉がおすすめしてくれました.(チェコ人の友達が推していたらしい)

入り口がかっこいいウ・フレクー

お店の前にはかなり人が並んでいましたが,ちょっと待つと中に案内されました. 中に入ってみると迷路のように入り組んで部屋がたくさんある,ちょっと変わったビアホールでした. 我々は中世風の部屋に案内されました.

ウ・フレクーでは能動的にビールを注文することはできず,ビールがなみなみ注がれたグラスを大量に持ち歩いているお兄さん方が,近くに来た時にビールを置いてくれます.ビールは通常のビールと黒ビールがあります.黒ビールがここのイチオシのようです.

注文したビールの数は注文票に黒の縦棒で書かれます. 何とワイルドな数え方!

注文したビールの数が縦棒で表される

チェコ料理も注文します.ビールに合いまくり.

店内ではアコーディオンを持ったお爺さんが練り歩いていて,色々な曲をずっと演奏しています. 我々の近くに来てくれたときに,「お前ら中国人か?」「いや日本人」「日本の曲は一曲だけ知ってるぜ」ということで一曲演奏してくれたんですが,知らない曲でした(?) でも何となく悪いので「知ってる曲だぜ!最高!」的なことを言っておきました.

アブサンバー

Y.Y.さんがアブサンバーに行きたいというので二次会します. アブサンというのはチェコ名物の薬草系リキュールで,飲むと幻覚がみえるという説がある怪しいやつです. プラハの迷路のような街並みを縫ってY.Y.さんが行ったことがあるというアブサンバーに向かいます. 辿り着くとそこには怪しすぎるお店が.

前回はY.Y.さんはここを発見して1人で突撃したらしい.勇者?

中に入ると地下に通されて,そこでアブサンを注文. 専用の機械で氷水で薄めて提供してくれます.氷水を入れると透明なアブサンが白濁するのが面白い. 店員のお兄さんが流暢な英語で仕組みを説明してくれましたが,流暢すぎて全然聞き取れませんでした…

美味しかったのでお土産に一本買って帰りました.

5日目(プラハプルゼニプラハ

プラハの宿の朝食にもクロワッサンがありました.味は普通なのでテンションも普通.

プルゼニ

この日はこの旅のメインの目的である,プルゼニという街のピルスナーウルケル醸造に行きます. ピルスナーウルケルというのはチェコのビールで,日本でも非常に人気のあるビールのスタイルであるピルスナーの元祖とされています. (プルゼニという街名がピルスナーの由来) 自分はけっこービールを飲んできましたがこのビールが一番好きです. お店でちゃんと注いでもらったピルスナーウルケルに勝てるビールは存在しないと思っています. 最近では日本にも気合を入れて出す店が増えてきていて嬉しいですね.

さてプルゼニという街には電車で1時間くらいで移動できます. ついてみると生憎の雨でやや寒いですが,気にせずピルスナーウルケル醸造所まで歩きます.

ウルケル醸造所の門

今回は前もって醸造所見学ツアーを予約していたので,これに参加します. チェコ語以外にも英語のコースがあるので,外国の人も多かったです.(日本人は見ませんでしたが…) ツアーは40代くらいの女性がガイドしてくれました. この人,なかなか面白くて小粋なジョークを挟みながら色々な設備を紹介してくれます. 実はこの工場の一部は日本のアサヒビールが所有しているらしく,日本語解説がついていたり,アサヒビールがアピールされている部分があって親近感が湧きました.日本のみんなも行こう!

日本語の解説
ビールで日捷友好

ツアーのハイライトは,地下のビール貯蔵施設で飲める無濾過無殺菌のピルスナーウルケルです. なんとここでしか飲めない逸品!

元気よく飲みましたがぶっちゃけ別に美味しくはないです.美味しくない日本の地ビールみたいな味がします.まあでも何事も体験ということでヨシ!! ちなみに,この地下貯蔵施設,めちゃくちゃ寒いので上着を持っていかないと凍えながらビールを飲むことになります.

さて見学ツアーが終わった場所から外に出ようとすると,すぐそこがお土産売り場になっています. 商売上手いなと思いながらも,体が勝手にウルケルTシャツとウルケルタオルを購入します.

この時点で13時くらいだったので,プルゼニの街を散策しつつウルケルを飲める場所に行こうとなります. プルゼニの中心は,聖バルトロミェイ教会という大きな教会及びそれを囲んでいる共和国広場です. その共和国広場をぐるっと回るように路面電車が走っています. 聖バルトロミェイ教会には高い塔があり,登れるので上からプルゼニの街を一望できます. 大きくないけど歴史があり,町並みが綺麗で美味しいビールのある,この街の雰囲気が自分はとても気に入りました. またチェコに来て,今度はプルゼニに何泊かしてゆっくり街を見てまわりたいです.

塔から見下ろすプルゼニの街

さて,ここまで我慢したのでピルスナーウルケルを飲むぞ飲むぞ飲むぞってことでその辺のレストランに入ります. 迷わずピルスナーウルケルを注文!!

いやーうますぎる.これをはるばるを海を渡って鉄道を乗り継いできました. この瞬間は自分の生涯において燦然と輝き続けることでしょう.

ヨーロッパのピルスナーウルケルは銅製のタンクに貯蔵するようで,それが見えるのもgoodです.

ピルスナーウルケルのタンク
Y.Y.さんはこの店から ABC (AtCoder Beginner Contest) に出てました(チェコの14時は日本の21時).何が彼をそこまで駆り立てるんだ.

この後プラハで用事があるので,14時30分ごろにプルゼニを出て鉄道でプラハに戻ります. プルゼニ駅で電車を待っていると,なにやら大声で盛り上がっている集団とそれを取り囲む警察が… 実はどうやらその日はプルゼニのサッカーチーム vs プラハのサッカーチームの試合がプラハであるらしく,プルゼニのサポーターが集団でプラハに移動するのと鉢合わせになってしまったようなのです. ただのサポーターと思う勿れ,警察が取り囲んでいることからも分かる通り,ちょっと異常なテンションで騒いでいてあまりお近づきになりたくない感じです. しかしなんとY.Y.さんが一等車を予約していたので,彼らとは別車両になることができました.グッジョブすぎる. プラハに着いてもホームで集団で歌っていたので,電車の中もすごかったのだろうと思います.すごい熱量ですね.

プラハ

この日の夜の予定は,プラハエステート劇場でオペラドン・ジョヴァンニを見ることです. このオペラはモーツァルト作曲の非常に有名な作品ですが,なんと初演がこのエステート劇場なんだそうです. そんな由緒ある作品なら見ざるをえない!ということで予約しておきました.

劇場は広いというよりは高さがあるという感じの,あまり見たことのない作りでした(ヨーロッパの劇場はこれがスタンダード?).

高さがあるエステート劇場

舞台の上にはスクリーンが吊るしてあり,ここに歌詞が英語とチェコ語で表示されます(もとはイタリア語). これがないと物語がさっぱり追えないはずなので非常に助かりました. また,劇場に行く前にストーリーや見どころをまとめた動画を見ておいたのも話の理解に大いに役立ちました. 話が分からないと急激に眠くなるので,予習大事です!

ストーリー自体は女たらし・ストーカー・浮気女・嫉妬男などが組んず解れつの割としょーもない話ですが,分かりやすくて良いです. 何より曲と歌が良い,3時間くらいあったのですが飽きることなく楽しむことができました.

オペラが終わると10時くらいであまりやっている店もないので,そのあたりのイタリア料理店に入ります. ここでStaropramenというボヘミアンピルスナーチェコピルスナー)を飲みます. とても美味しい.これは日本に帰ってもamazonで買いたいやつですね.

ペペロンチーノも食べましたが,やはりこの料理は偉大.

ホテルに帰って寝ます.

6日目(プラハ

最終日です. Y.Y.さんがこの日も早朝ランニングをしていて元気だな〜と思います. この日はプラハの街の観光をします.

プラハは街全体が観光地のような感じで至る所に凄そうな建物があります. そんなプラハでも随一の観光名所がプラハで,こちらに向かいます. プラハ城は小高い丘の上にある,大聖堂や宮殿などの複数の建物からなる広大なお城です.

カレル橋から見たプラハ

宿から歩いて旧市街を抜けて有名なカレル橋を渡り,坂道をしばらく登っていくとプラハ城にたどり着きます. プラハ城からのプラハ市街の眺めがとても綺麗です.

プラハ城から見たプラハの街

プラハ城でなぜか日本人をたくさん見ました.人気観光地だからでしょうか.

色々と建物を回りましたがやはり凄いのは大聖堂です. ヨーロッパ観光あるあるとして「教会を回りすぎて教会に興味がなくなってくる」というのがあると思うんですが, この大聖堂はそのあるあるを吹き飛ばすような巨大かつ豪華な作りになっています.

歩き疲れて水分が足りないので(?)プラハ場内のカフェでビールを飲みます.Kozelです.

これもまたボヘミアンピルスナー王道という感じで美味しいです.

プラハ城を出て旧市街に戻り,ぶらぶらしているとKozel darkを出してそうなハンバーガー屋さんを見つけたので入ります.

とても美味しい.Kozelのジョッキは持ち手がオシャレですね. オシャレすぎてお土産にこのジョッキを買ってしまったのですが今のところ使い道がありません…

そのあとは旧市街を彷徨って時計台に登ったりお土産を漁ったりしてタイムアップとなりました.

プラハ旧市街

プラハ中央駅からバスでプラハ空港へ向かいます.ここでY.Y.さんとはお別れ.多謝〜

プラハ空港でしばらく暇だったので,そのへんにあるピルスナーウルケル公認ビアバーでウルケルとKozelのハーフ&ハーフを飲みます. これまでに戦ったボスが合体して襲いかかってきたみたいで良いですね(?)

Special technique により黒の部分と黄金の部分が分離しているそうで,飲み進めるうちに混ざっていき味が変化していくとのことでした. とても美味しい.

その後は無事飛行機でワルシャワ,成田と飛んで無事帰国です. 最後に日本のビールを飲みたくなったので成田エクスプレスの中でサッポロ黒ラベルを飲みます.

やっぱり日本のビールもとても美味しい.めでたしめでたし.

全体のまとめ

各国のビールをたくさん飲めて非常に良い旅でした. 特に印象深いのはミュンヘンオクトーバーフェストプルゼニピルスナーウルケルです. どちらももう一度行きたい.

それぞれのビールについて思ったのは,ドイツビールは割と大雑把で,チェコのビールは丁寧で繊細です(入った店の影響も大きいかもしれませんが…). 日本のビールも丁寧で繊細ですが,味はドイツビールに近いです. 僕はチェコビールが一番好きです.

帰国後に父親にホフブロイハウス行ったと伝えると,「僕もその昔ミュンヘンプルゼニプラハの旅行をして,そのときにホフブロイハウス行った」と言われました.ビール遺伝子か?

ヨーロッパ・ビール🍻旅行記①

2023/9/25-10/2でビールを飲むことを主目的としたヨーロッパ旅行をしてきたのでご報告させていただきます.

発端

  • 10年以上ビールを飲み続けた結果,結局ピルスナーウルケルというチェコのビールが一番美味しいんじゃないかという結論に至りつつあり,本場で飲んでみたかったこと
  • 百塔の街・黄金の街・千年都市であるところのプラハを見てみたかったこと

が理由で2年前くらいからチェコに行きたいチェコに行きたいと言っていたのですが,コロナの影響だったり博士課程に入学して忙しかったりで行く機会がなかなか行けていませんでした. 博士号を取得し,海外旅行の規制が緩くなってきたこのタイミングしかないということで,行く行く詐欺マンを脱するためにもチェコを訪問することにしました. 目的地はプラハと,ピルスナーウルケル発祥の街プルゼニです.

1人で行くのもアリでしたが,やっぱり他のビール好きと語り合いたいということで一緒に行く人を探したところ,Y.Y.さんがやる気満々だったので2人で行くことにしました.Y.Y.さんはヨーロッパでの長期滞在経験が複数あるので頼もしいですね.

2人の予定的に9月末-10月頭くらいが良さそうと言っていると,そのあたりってオクトーバーフェストじゃんということでミュンヘンにも行くことになりました.自分は2014年にもオクトーバーフェストに行ったので9年ぶり2回目になります.

オクトーバーフェスト: ミュンヘンで毎年9-10月に開催される世界最大規模のビール祭り

さらにウィーンも自然にルートに組み込めるということで行くことになりました. 自分のウィーンでの主目的は,エゴン・シーレ「死と乙女」という絵を見ることです. Y.Y.さんはオリジナルのザッハトルテを食べたいらしい.

旅行地図

日本→ミュンヘン

雑にsky ticketで調べるとLOTポーランド航空を使ってワルシャワ経由で行くと安い&時間が良さそう. ポーランドビールも飲めるじゃ〜んということでこれに決定.

出発前日は京都で結婚式に参加したりでわちゃわちゃしていたが気合で準備して成田から出発. LOTポーランド航空は普通に良かったです. とりあえず機内で一発目のビールをキメる.

甘めで飲みやすいラガーで美味しいです.美味しいのでおかわり. Żywiecポーランドで一番有名なビールらしいです?

ワルシャワ空港で無事乗り換えできそうだったので,その辺のバーでŻywiecのIPAを飲んでみる.

スタンダードなIPAという感じで美味しいです. Żywiecは色んな種類のビールを出してるみたいでした. よく考えるとこの旅行でIPAを飲んだのはこれが最初で最後でした.

あとはミュンヘンまで飛行機,これは一瞬.

1日目(ミュンヘン

ミュンヘン空港でY.Y.さんと拍子抜けするほど簡単に合流しました. とりあえずホテルに荷物を置きます.

ホフブロイハウス

メインの目的は勿論オクトーバーフェストなのですが,着いたのが午前中ということでしばらく暇に. ならばということで街中を観光しつつホフブロイハウスに行きました.

ホフブロイハウスというのは,ミュンヘンにある有名なビアホールです. 9年前にオクフェスに行ったと父親に言ったら「ホフブロイハウスには行ってないんかw」みたいな煽りを喰らったので絶対行ってやると思っていました.

行ってみて感じたのは,とにかく大きい! 博物館なんかに転用できそうなサイズです.なんと1000人入れるとのこと. 特に中庭のスペースが屋外でいい感じだったのでここでビールを開始しました.

デカくてうまいですね.ドイツのビールは日本の大手ビールに似ています(というか日本が参考にした). だけどなんとなくドイツの方が大雑把な味がする気がします. その大雑把なビールをクソデカ1ℓジョッキで飲むのが最高です.

オクフェス①

スタートダッシュに成功した(この時点で1.5ℓ飲んでいる)ので,オクフェスに向かいます. オクフェスはミュンヘン中央駅近くのテレージエンヴィーゼという公園で開催されています. この会場もめちゃくちゃ広くて,wikipediaによるとなんと東京ドーム9個分! 複数のビールテント(テントといっても並のレストランよりはるかに大きい)が設置されているだけでなく,移動式遊園地ということで観覧車やジェットコースターなどの絶叫マシン,お化け屋敷なども大量にあって,もはや一体これは何のイベントなんだという感じです. ビールは1ℓ単位のクソデカジョッキでしか売られていないので,気合いを入れて飲む必要があります. 因みに現金しか使えません!

オクフェスには6大ビール醸造というものがあり,シュパーテン・アウグスティナー・パウラーナー・ハッカープショール・レーベンブロイ・ホフブロイで構成されます. とりあえずそれぞれの醸造所は一杯ずつは飲もうということで行動開始(ホフブロイは済).

とりあえず近くにあったアウグスティナーのテントに入ります. 中は予約席 or 埋まっている席ばかりだったのですが,予約客が来るまでは座ってもいいよということで一杯飲むことにしました.

テントの中は蒸し暑いのであまりにもビールが進みます. 丸焼きのチキンも頼んでこれがオクフェス!最高! しかし予約客が来るので1時間くらいで追い出されます.

時間が17時くらいになってくるとなかなかテント内には座れません. ということでテントの外の席を探します. ちょうどレーベンブロイのテントの外を彷徨いて席を探していると,地元の人がここなら2人座れるぞ!とありがたく声を掛けてくれたのでそのあたりに座ることにしました. ということでレーベンブロイを飲みます.

ここに座って飲んでいると,隣にウクライナ出身の人たち(今はプラハに住んでいる?)が座ってきたので色々と話をしました. 色んな人が来ていますね. Y.Y.さんが売り子からパンを買ったところ,買った後になって地元の人から「そのパンまずいよ」的なことを言われてて草でした. もっと早く言ってくれ

そろそろ酔っ払いですがもう一杯飲もうということでパウラーナーのテントの外の席に座りビールを頼みます.

これが一番自分の好みだった気がします. 2人で飲んでいると,隣のやたらと元気が良く発音が聞き取りやすいイギリス人と仲良くなります. 自転車でイギリスから来ているらしく,次の日にはイギリスに帰るとのこと.

ビール飲みながらしばらく喋っていると,「思い出にあのヤバそうなアトラクションに乗ろうぜ!!」的なことを言ってきます. ヤバそうなアトラクションとはこれです.

一番ヤバいやつ
もの凄く高いところまで上昇して,そこで長時間静止して,いきなり落下するやつです. オクフェス会場最高峰っぽく,周りには見物客がたくさんいますが乗っている人は少なめです. 普段の自分なら,いや〜荷物あるしゆーてええわ〜とか言いそうなのですが,かなり酔っ払ってたので,面白そう!!!となったので3人で乗ることに. もともと絶叫系は大好きなんですよね.

なんと例のイギリス人が料金を奢ってくれます. 少し並んで荷物を預けていざスタート.ゆっくりと高度が上がっていき,最高地点でしばらく停止します. 確かに怖さはありました.しかし,最高峰から見るオクフェス会場・ミュンヘンの光はとても綺麗で,酔っ払っているのもあり最高の気分になってしまいました. そして落下.しかし落下自体はそこまで怖いものではありません.怖いのは落ちるのを待っている時間なのです.

さて落下してアトラクションを降ります. Y.Y.さんと例のイギリス人に合流しようとする…と例のイギリス人は消えていました.?????????

どういうことなのでしょう? いくら探しても例のイギリス人はいません. 何か盗られたか?と思いましたがそうでもなさそうです. なんならアトラクション代を払ってもらったのでこちらとしてはプラスです. 意味がわかりません.

結局よく分からないので,オクトーバーフェストに潜む妖精さんが人々をアトラクションに誘導して驚かせているという解釈をしておくことにしました. また来た時も妖精さんに会えるといいですね. 首を傾げながらホテルに帰りました.

9年前に来た時も似たような出来事がありました. オクフェスでは不思議な出会いは普遍的なのかも.

2日目(ミュンヘン

Y.Y.さんが早起きしてミュンヘンの街を走っててビビりました. ホテルで朝ごはんを食べます.クロワッサンが異常に美味しい,流石ヨーロッパ(?).

ドイツ博物館

この日もオクフェスに行く予定です. 前日はテント内に座れなかったので,今日は早めに行ってテント内をサクッと楽しみ,早めに帰って次の日早朝のウィーンへの移動に備えようという作戦です. それでも15時くらいに行けば良いのでしばらく暇ということで,てきとーに検索して見つけたドイツ博物館に行くことにします.

ドイツ博物館

ドイツ博物館は,ミュンヘンにある科学博物館であり,農業・工業・物理・化学・宇宙・暗号・数学・音楽など非常に幅広い分野の学問に関する展示が行われています. あまりにも膨大な展示のため,全てをしっかり楽しもうとすると一日ではとても終わりません. こういう施設は子供が楽しみながら勉強できそうで良いですね. 我々はざっと全体を俯瞰するように見て回りました. 個人的には,暗号のブースにドイツの有名な暗号機であるエニグマが展示されていてテンションが上がりました.

ドイツのギターヒーロー

オクフェス②

15時くらいから乗り込んでいきます.

まずハッカープショールのテントに行きます.昨日の夜の混み具合が嘘のように席が空いています. とりあえずビールを頼みます.

昼を食べていなかったので料理も注文します.肉料理を頼みまくりです.

やっぱりソーセージ

このテントで,ミュンヘンに着いてから初めて日本人を見ました.意外と少ないみたいです.

6大醸造所のビールをコンプリートするために,最後に残ったシュパーテンのテントに行きます.

名物の鶏の丸焼きを食べます.

スイーツ的なものもあります.

ここではテント内の予約されていない席に座ることができました. これはかなり重要です; 夜のテント内を楽しむことができるのです. テント内は夜になると照明の雰囲気が大きく変わり,延々とバンド演奏が流れる中,みんな椅子の上に立って歌い踊りまくります.

昼のテント内
夜のテント内.昼と全く雰囲気が違う

自分がそこまで洋楽詳しくないからか,知らない曲が多かったですが,John Denverの"Country Road"やBon Joviの"Livin' On A Prayer",Queenの"We Are The Champions"など知っている曲もいくつかあり,楽しく大合唱しました.このあたりから酔っ払いの影響もありテンションがおかしくなっていて,隣の人と写真撮りまくってたりしたらしいですがあまり記憶がありません…(スマホには写真が色々あった) 隣の人がオーストラリア出身と言っているのにオーストリア出身だと勘違いして,ウィーンの観光名所を聞きまくって気まずい雰囲気になったりしたのは覚えています.

結局21時くらいまでテントで飲んで遊んでいました.サクッと終わらせて次の日の早朝の移動に備えるとはなんだったのか. 終わった後は,僕は島唄を歌っていたらしいです.なんで?

3日目(ミュンヘン→ウィーン)

朝早く起きてミュンヘン駅から電車に乗ってウィーンへ向かいます. 大体4時間くらい. 車窓は概ね平原が広がっていて,馬がいたり牛がいたりします. 前日飲んでおいたミラグレーンの御力か,二日酔いなしです.

乗った電車

12時くらいにウィーン中央駅に着き,ホテルに荷物置いたらまずはカフェ・ザッハーに向かいます. ここは有名なお菓子ザッハトルテの発祥の店で,Y.Y.さんが前回来ようとした時は行列がヤバ過ぎて入れなかったのでリベンジを誓っていたそうです.

どれだけ混んでいるんだとビビりながらお店に着くと,平日だったからかほぼ行列もなくすんなり入れてしまいました. ザッハトルテとウィンナコーヒーを注文します.

ザッハトルテ
ウィンナコーヒー
食べて驚いたのが,全く甘くない!チョコケーキもクリームも甘そうに見えますが裏切られます.それでも,というかそれ故にとても美味しい.自分はそんなに甘いものが好きなわけではないので気に入りました.

腹ごしらえをしたので二つの美術館,レオポルド美術館美術史美術館に行きます.

レオポルド美術館は19世紀後半-20世紀前半の美術作品を中心に展示している美術館で,クリムトやシーレの絵が多いです. そこまで大きい美術館ではないので2時間くらいあればしっかり見て回れると思います. というか入ってしばらくしてから気づいたんですが,今年の初めに東京都美術館でレオポルド美術館展が開催されていて,それに行ったのでけっこーな割合の絵は見たことがありましたね… まあいいものは何度見ても良いのでヨシ!!

レオポルド美術館

次に美術史美術館に行きます. こちらはレオポルド美術館よりも古い美術品が多く展示されいてます. ここは数あるウィーンの美術館の中でも最も大きく,展示されている美術品の数は膨大です. それほど美術に詳しくない自分でも知っている絵がたくさんありました. 建物自体も立派で,中央ホールは豪華絢爛,展示室はたくさんの小さな部屋が繋がりあっており,まるで迷路です. 2人で各々好きなように回っていましたが時々不意に合流したりして,なんとなくランダムウォークの合流確率に思いを馳せたりしていました(?) 絵以外の美術品も多く,ちゃんと見て回るならば一日覚悟しておいた方が良さそうです.

あとはヨーロッパ名物クソデカ大聖堂の塔に登ったりしたあと,ご飯を食べに行きます.

シュテファン大聖堂から見たウィーン

ウィーン名物シュニッツェル(肉を叩いて薄くして,パン粉を付けて揚げたもの)を食べたいので,専門店を探します. 最初は近くにあったFiglmüllerというお店に入ろうとしたのですが,実は有名店だったらしく予約がないと無理と言われてしまいます. 仕方がないので近くのLugeckというお店に入ります. 後で知ったのですがこのお店もFiglmüllerの系列らしくラッキー! しかもこのお店はビールに力を入れているらしく,飲むしかねえ!

どちらもドイツのビールに近い感じで美味しいです. 白ビールは結局ここでしか飲んでないですね.

無事シュニッツェルも食べることができました.サクサクで美味しい.レモンがよく合いますね.ビールとの相性も抜群です.

満足したのでホテルに帰って明日に備えて寝ます.

その②に続きます.

博士号取得体験記(社会人早期修了)

2023年3月24日,筑波大学で博士(工学)を取得しました. 社会人早期修了というシステムによって,会社で書いた論文を業績として使うことで1年で博士号を取ることができました. 少し珍しいパターンでの博士号取得だと思いますので,自分の備忘録も兼ねて体験記を書きます.

なぜ修士卒業時に博士課程に行かなかったのか

理由は簡単で,博士課程でやっていくのはキツそうだな〜と思ったからです. まず,そもそも修士1年終了時に全く業績がありませんでした. 正直,修士1年の頃は真面目に研究をしていなかったので,論文もなければ受賞もないみたいな状況で,学振取るのも厳しいしこんなのじゃ博士課程なんてとても無理だと思っていました(これは恐らく偽です). また,研究室の一つ上の学年の先輩たちがとても優秀だったのですが,その人たちが一人も博士課程に進学しなかったことで,「この人たちでも行かないなら絶対無理だろ」となっていました. 今思えばこれはよくわからない理論で,他人に理由を求めるなという感じですが,当時の自分はそう思っちゃってました.

じゃあなんで研究職に就いたのかというと,単純に研究自体が好きだったのと,自分の裁量で仕事がしやすいのではないかと思ったからです.自分はそんなお金が欲しいわけではないけど自由が欲しいタイプだったので,(情報系分野の)研究職は向いているんじゃないかと思っていました.これはそんなに外していなかったと今でも思います.

いくつか企業研究所を受けて,(業績がなかったのになぜか)拾ってもらえた会社に入りました.

なぜ博士号を取るのか

  • 今後のキャリアを考えると欲しくなる.会社で研究者としてやっていくためにも,大学に転職する場合にも博士号は有利になる.また,海外だとより効力が大きいとも聞く.絶対に必要になるとは限らないが,将来の選択肢を広げるためにはとった方が良さそう.

  • なんとなく取ってないのが気持ち悪い.まわりに「取らないの?」って聞かれる.

  • 名刺に博士って書けるのでかっこいい.

どこで博士号を取るか

一番よくあるのは,修士を取った研究室(自分の場合は東大)に戻るパターンです. ただ,自分は以下の理由でそれが難しそうでした.

  • 自分の(実質的な)指導教員が既に退職していた
  • 会社に入ってから研究分野が変わっていた(数理最適化→データマイニング

そこで別の選択肢として,興味のある研究室に自分でコンタクトを取り学生として受け入れてもらうという方法があります. 自分の場合は上司が筑波大学で社会人として博士をとっており,その研究室に興味があり教授を紹介してもらうことができたのでスムーズでした.

なぜ社会人早期修了プログラムを使うのか

さて,筑波大学の博士課程には社会人早期修了プログラムという制度があります(恐らく筑波大学にしかありません). この制度は,一定の研究業績を有する社会人を対象に,通常3年かかる博士後期課程を最短1年で修了し課程博士号を取得するプログラムです. 入学時点である程度の業績が必要であり,通常の博士課程と比較して審査が多くなるという点は注意が必要ですが,短い期間で通常の学位がとれるのは非常に魅力的です. また,短い期間で卒業できると言うことは即ちかかる学費も安くなるので,そこも嬉しいポイントです.

学業に専念するならまだしも,社会人をしながら3年間大学に通い続けるのは自分の精神力ではかなり難しい気がしていましたし,実際大変だったり事情が変わったりして途中で断念した人の話もちょくちょく聞いていました. そのため,短期集中で取れるならばそれに越したことはないと判断し,制度の利用を決めました. 自分は幸いにも会社でそこそこ論文を書けていたので,制度利用の前提条件は満たしていました. この前提条件を満たすのはなかなかハードルが高く(研究者として働いていないと業績を積むのが難しい),注意が必要な点です.

具体的な経過

2021/8

院試に必要なTOEICの申し込みをする.かなり忘れやすいので注意.

2021/9

上司にお願いして指導教員にメールで紹介して貰う.一度Zoomミーティングをすることに.

2021/10

初めて指導教員とZoomミーティングをする.自己紹介,これまでの研究内容,これまでの業績,今後の研究予定,博士論文の構想などについて説明する.受け入れに関しては問題ないという返事を貰う.英文ジャーナルがないのが気になるので,なるべく早く英文ジャーナルを書くことを薦められる.

TOEICを受験する.時期的にかなりギリギリ.結果はすぐに帰ってきた.

2021/12

大学院入試(冬)への出願を行う.書類が多くて頭がおかしくなりそうになる.

2022/1

院試の内容がこれまでの研究及び研究計画のプレゼンなので,この準備をする.指導教員にも一度発表練習をして貰う.内容がふわっとしすぎなのでもっと具体的に書いてくださいと言われる.

2022/2

院試を受ける.プレゼンをして質疑を行う流れ.あまり質問内容を覚えていないが,基本的には研究内容と博士課程でどう発展させるかについて聞かれたと思う.

院試に合格したとの知らせがくる.また無限書類編が始まる.このとき,社会人早期修了の手続きを行うのをすっかり忘れていて,通常の博士課程になるところだった.ギリギリのところで気づいて何とかなった.やべ〜

2022/3

英文ジャーナルの投稿をする.以前国際会議に通ったものを拡張した内容を投稿した.もっと早く投稿すべきだったと後悔することになる.(後述)

2022/4

入学式で初めて筑波大学に行く. まわりがとても楽しそうだったが自分はぼっちなので淡々としていた.

指導教員と初めて対面し,今後の方針について話す.

2022/5, 6

博士論文のストーリーや位置付けについて指導教員と何度も議論する. 自分の場合は大きく3つの論文を書いていたのだが,これをどういうストーリーで一つの博士論文として纏めるかが焦点. また,今までよりも広く深くサーベイを行い,どのように既存研究の中で自身の博士論文を位置付けるかについても議論した.

また,7月に中間審査があるので,それに向けて発表資料を準備し発表練習をする.指導教員に直されまくった.

2022/7

中間審査を受ける.教授3人の前で30分程度で現在の研究の進捗と博士論文の構想について説明する.もともとは対面の予定だったが,タイミング悪く自分がコロナになってしまったので急遽Zoomで行うことになる.喉は痛いが気合で発表し,なんとか合格する.実験の部分に関してデータセットの少なさや設定の悪さについて指摘され,予備審査までに修正するよう言われる.

単位を取るためにレポートを書く.現在の研究の進捗をまとめたものと分野のサーベイの2本を書いたが,直しが入ったこともあり割と重い課題だった.

2022/8

中間審査が終わってだいぶ気が抜けてダラダラしていると,ジャーナルの査読結果が帰ってくる.結果はメジャーリビジョン.査読者の1人がものすごく読み込んでくれていて,それはありがたいのだけれど,無限の修正箇所(追加実験含む)が挙げられていている.「もしも本審査までに英文ジャーナル通らなかったら半年延長を覚悟してね^^」と指導教員に言われたことに今更危機感を覚える.半年延長は時間もお金もかかるので何としても避けたい.気合いで全てのコメントに対応して次の往復で必ずアクセプトを勝ち取ることを決意する.ということでまず追加実験を始める.

2022/9

ジャーナルの熱烈リビジョンを行い,なんとか全て対応して提出する.

これに加え,10月の博士論文の予備審査の準備を開始する. 一般的にこの審査が一番厳しく重要であると言われる. 予備審査時点では博士論文は必要なく,予備審査を通過すれば博士論文に着手できる,という位置付け.(これは大学によって違うらしい)

まず,予備審査を受ける手続きが大変で,書類をたくさん用意する必要がある. 特に大変なのが論文要旨で,これはA4サイズ10枚という短さに博士論文の内容をまとめる必要がある.

さらに,発表資料・練習がとても重要であり,1時間の発表 + 1時間程度の質疑に耐えられるプレゼンテーションを用意する必要がある. これに関しては指導教員に何度も指導してもらって作り直しながら完成させた.中間審査時点での指摘を踏まえた追加実験も大量に行った.

このあたりはめちゃくちゃ忙しくて,繋いでいたAtCoder Heuritic Contest (AHC)の連続出場を切ってしまう.

2022/10

予備審査を受ける. 予備審査本番は,教授5人の前で1時間で博士論文の内容を説明し,1時間の質疑を行う. 修士の頃見た予備審査でめちゃくちゃ厳しいコメントが飛び交っていたのでビビり散らかしていたが,意外と先生方が優しく和やかに終わった. 和やかに終われたのは,指導教員と何度も発表練習をして何度も直したこと,中間審査で受けたコメントにきちんと対応して追加実験をたくさん行ったことが理由として大きかったと思う. こういう実験を追加した方が良いのではないか,こういう議論を追加した方が良いのではないかというコメントを貰う.

終わった後は解放感がすごかったので,その足で新橋→浜松町を1人で飲み歩いた.

2022/11

予備審査が終わって一息ついていると,英文ジャーナルの査読結果が帰ってきた.結果はアクセプト.査読対応を頑張った甲斐があった.3月卒業のメドがついたのでかなりホッとする.

あとは熱烈博士論文執筆タイム.ひたすら書くしかないのでひたすら書く.

2022/12

熱烈博士論文執筆タイム②.ひたすら書くしかないのでひたすら書く. あと,予備審査で指摘された追加実験を行い,考察してその内容も博士論文に反映した.

2023/1

博士論文を提出.提出日が1/5だったので,冬休みは博士論文執筆にほぼ消えた.

あとは最終審査に向けて発表資料作成・発表練習をする.ただ,予備審査時から大きく変更はしなかったので予備審査のときほど大変ではなかった.

この時期は博士論文と全く関係ない内容の国際会議論文執筆・会社での重要な面談などが詰まっており忙しくてヤバだった.

2023/2

最終審査を受ける.今回も教授5人の前で1時間で博士論文の内容を説明し,1時間の質疑を行う. 最終審査は公開なので,教授陣以外にも聴講者がいた. 基本的には致命的なコメントもなく,和やかな雰囲気で終了した. 今回も,予備審査での指摘事項に真摯に対応し,対応した内容を別紙にまとめておいたのが効いたのだと思われる.

質疑終了後,別室で待っていると指導教員に呼ばれ,合格を告げられる.めでたしめでたし. 終わった後は解放感がすごかったので,その足で秋葉原→神保町を1人で飲み歩いた.

最終審査のコメントを反映して,博士論文の最終版を提出した.

その後,単位取得のためのレポートを2本書いた.

2023/3

こまごまと事務作業はあったものの,大きなタスクはなく学位授与式を迎えた.

終わっての感想

  • 業績がある状態で入学したので,業績が出ないんじゃないかと不安で辛くなることはありませんでした.また,働いているのでお金のことで困ることもありませんでした.博士課程の二大悩みが「業績」と「お金」な気がするので,その心配が無かったのは良かったです.

  • ただし,基本的には仕事が終わってから or 土日に作業することになるので,かなり忙しいです.特に仕事と大学の忙しい時期が被るとヤバい.

  • 教授とのミーティングや研究室のゼミはほぼリモートでした.自分は神奈川県に住んでいて,筑波大学まで通うと片道3時間弱かかるので,これは非常に助かりました.大学には結局,入学式・予備審査・最終審査・学位授与式の4回しか行っていません.

  • 全体的に書類をめちゃくちゃ書かされます.事務作業苦手マンには刺さりました.

  • 社会人研究者をしていると,あんまりよく分かっていない偉い人に説明する機会も多く,それに適応するために「ふわっと」した説明をしたり資料を作る癖がついていたのですが,大学では何度かそれが悪い方向に働いていました.自分がいつの間に変わってしまったのかと驚きました(?)

  • 久々に研究室ゼミに参加していたのですが,学生の発表を見ると昔の自分を思い出して懐かしい気持ちになりました.教授が無限に質問しててすごかった

  • 教授は本当に知識が豊富で頭の回転が速く,1を聞いて10を知って20聞いてくるみたいな感じでした.こういう人と話をするのは楽しく,博士課程に入って良かったと思いました.

今後

特に何も変わらず今の会社で働き続ける予定です.来年はもっと遊びたい.

2022年振り返り

去年に続いて2022年の振り返りをします. 2022年の内に書く予定だったのに書ききれませんでした. 特に有益な情報はなさそうです.

仕事(研究)

とりあえず今年は主著で海外のジャーナルに1本,共著で国際会議に2本でした. ちょっと物足りない.

ジャーナルはレビュアーの1人が論文をめちゃくちゃ読み込んでくれて,それは嬉しいんですが,「こうしたら良くなるよ!」という案が大量に送られてきて対応するのが大変でした.ただ,頑張って真摯に対応したところすっと採録されたので,それも含めて良い経験になりました.

共著の国際会議は後輩がめちゃ頑張ってくれていいところに2本通せました. 基本後輩がざっくりしたアイデアと原稿を作ってくれて,それに僕がコメントしまくったり修正しまくったりするみたいな感じで書いてて,それが噛み合っていい感じの論文が書けました. でもこういうのはたたき台を作る人が一番偉いので,やっぱり後輩が偉すぎる.

他には,会社の研究お披露目会的なところでの展示担当をしたり,そのほか色々やってました.

入社以来ずっとお世話になってきたとても尊敬できる上司が退職したり組織がシャッフルされたり色々ありましたが,色々な人のおかげで割と平和に過ごすことができたと思います.来年も平和だといいな〜

社会人博士課程

4月から社会人博士課程に入学して博士号をとるべく活動しています. 研究者として働くのであれば取っとかないとキャリアの幅が狭まるし,取るなら早く取った方がいいので行かないとな〜と5年くらい前から思っていたのですが,得意の先延ばし癖でだらだらと過ごしていました. ついに一念発起したのが2021年の秋頃で,そこから今の指導教員にコンタクトをとったり受験対策したりして,2022年4月に晴れて入学となりました.

自分の勤めている会社は時間の融通が効く方なので,他の会社からの社会人博士課程進学者よりは楽だと思うのですが,それでも今年はこれにかなりの時間を使っていました. しかも自分は1年で博士号を取ろうとしているのでてんやわんやで,紙一重のタイミングも多かったです.(この辺は卒業できたらまた別に記事を書くかも)

進学して思ったことは,書類の作成・提出の難易度がかなり高いということです… 会社だと担当の人がいて何か忘れていたらリマインドしてくれたりするんですが,大学は基本自己責任なので忘れると最悪留年・卒業失敗の形で返ってきます.実際何度か致命的なミスをしかけました.

あとは指導教員が頭が切れまくるので指導を受けていて面白いです.頭がいい人と話すのは楽しい.

これを書いてる今も博論提出間近で,提出すればあとは最終審査を残すだけになるので,最後まで気合いで走り抜けます!

競プロ

今年は基本的にはヒューリスティックをやってました. とりあえず黄色になりました.

今年面白かった問題は間違いなく AHC016 Graphorean でした. こういうコンピューターサイエンスバトルが好きです. AHC011 Sliding Tree Puzzle も二段階の問題をどうバランスして解くか考えるのが楽しかったです.

もっと上を目指したいんですが,平均的にパフォは出るけど大成功はない,という感じであんまりレートが上がらなくて困ってます. 来年は爆発したい. あと,長期に比べて短期の成績が弱すぎるのでなんとかしたい.どうすればいいのか誰か教えてくれ(?) 一時期博論がヤバすぎて参加 streak を切っちゃったのも悲しいので来年はなるべく全参加したいです.

アルゴは全くやっていません(たまにちょっとABCに出たりしたけど). 言い訳なんですけど,アルゴって精進しないと実力・レートが落ちやすいので実はめちゃくちゃ時間が必要ですよね… (ヒューリスティックは本番中に頑張れば割となんとかなる & レート下がらないので雑に出れる)

その他

  • 今年もビールを飲みまくっててたのですが,新しい世界を広げようとワインもたくさん飲むようになりました.種類が多いし料理と合わせるのが楽しいです.気付いたら1本なくなってなりするのが危険.全く詳しくないので,詳しい人,色々教えてください.

  • 在宅勤務ばっかりやってたので美味しいものを自力で手に入れるために料理にハマり始めました.イタリアン料理の動画を見てひたすらパスタを作っていました.料理は手順に対する再現性がとても高いので分かりやすく最適化の楽しさがあります.来年は魚とか捌けるようになりたいです.あと体系的な勉強をしていないので調理師免許取りたい(?)

  • 今年も有馬記念の馬券が当たりました(三連複だけど).今年何度も苦汁を舐めさせられたジェラルディーナで最後勝てたのは嬉しかった.来年も当ててえ

  • 麻雀もそこそこやりました.ただ最近は雀魂ができてなくてとても良くないです.雀荘行ったらコロナになって博論中間発表が危うくなった(?)

  • 結婚しました    …弟が.

今年の目標の振り返りと来年の目標

2022年の目標

  • AHC → 頑張った
  • Kaggle → やってない
  • 英語 → オンライン英会話を初めて最初は楽しかったけど一瞬で飽きた.もう少し強い動機かゲーミフィケーションがないと自分には厳しい…
  • チェコに行く → 行ってない
  • 雀聖になる → 雀豪2止まり.もっと打てば上がると思うけど,打数が足りてない.

こいつ何も目標達成してないな. まあ博士課程が入ってきたから仕方ないということで…

2023年の目標

  • AHC 橙
  • Kaggle やる 一つのコンペでもいいからフルで参加する
  • オンライン英会話をとりあえず3ヶ月は継続する
  • チェコでウルケルを飲む
  • 雀聖2になる

面白かった本,面白かった映画

長くなりそうなので最後に回しましたが,今年読んで特に面白かった本と映画を挙げます.今年発表された作品ではなく,今年僕が見た作品です.ややネタバレ注意. これを書いてて思ったんですが,twitter に鑑賞した作品を垂れ流しておくと,あとでまとめるときに便利ですね. (「見た」「読んだ」で検索すると良い)

  • テスカトリポカ(佐藤究,2021)
    今年読んだ本ではこれが一番面白かったかもしれない. メキシコカルテルの長がメキシコを離れて東南アジアで日本人外科医と遭遇して日本で臓器ビジネスを始めるという話. こう書くとシンプルなんだけど,物語全体にわたってアステカ神話が執拗に絡んでくる. タイトルのテスカトリポカもアステカ神話に出てくる神様,「煙を吐く鏡」. 基本的に僕はオカルトが絡むミステリが好きなので(京極夏彦とか)めちゃくちゃ刺さった. こういうのもっと読ませてくれ〜〜

  • ベルカ,吠えないのか?(古川日出男,2005)
    これもめちゃくちゃ面白かった. 第二次世界大戦中,太平洋のキスカ島に取り残された軍用犬4匹から始まる犬たちが繁殖を繰り返して世界中に広がりながら,20世紀の重要な事件に絡んでいく,という話. 基本的にはずっと犬の物語なんだけれども,冷戦の物語であり,ソ連の物語でもある. 特徴的なのは謎の語り手による熱のある語り口で,ずっと犬たちに対して「イヌよ,イヌよ」って語りかけている. キスカ島に軍用犬が取り残されたのは事実だがあとは創造らしく,作者のとんでもない想像力にただただ驚かされた. 去年「三体」を読んだ時も思ったけど,この世界にはとんでもない想像力を持った人がいて,その想像力をぶつけられるのってとても気持ち良い. 自分はソ連が崩壊した1991年に生まれて冷戦の時代を全く知らないので,その時代の空気感をよく知れたのも良かった.

  • 匣の中の失楽竹本健治,1991)
    いわゆる「四大奇書」に挙げられる作品なので読んでみたけど,そんなにクセがあるわけでもなく推理小説として面白かった. 「ドグラ・マグラ」は学生時代に読んだけど途中で眠くなってやめたので…(今読んだら面白いのだろうか?) 偶数章と奇数章で話が入れ子になってて頭がバグっていくのが楽しい. ミステリマニアの登場人物たちの会話がやや痛いのが玉に瑕.

  • 同志少女よ,敵を撃て(逢坂冬馬,2021)
    ドイツ軍に家族を殺されたソ連の少女が狙撃手になって独ソ戦で活躍する話. 話が面白いし読みやすい,キャラクターも魅力的なので色んな人におすすめできる. 物語に関係ないけど,これを読むにあたって独ソ戦のことを調べて,こんなに人が死んだのかと驚いた(少なくとも3000万人?). あとかなり百合要素が強かった?ので,何故か僕の twitter のタイムラインに多い百合愛好家の人は読むと良いかもしれません.

  • ラッシュライフ伊坂幸太郎,2002)
    伊坂幸太郎は「重力ピエロ」を中学生くらいのときに読んで以来久しぶりに読んだんだけど,読みやすいし面白かった. 起こっている事件はけっこー陰惨なのに読後感は妙に爽やかなのが不思議. 「アヒルと鴨のコインロッカー」も読んだけど,「ラッシュライフ」の方が好きだった.

  • ウクライナ戦争(小泉悠,2022)
    ウクライナ戦争は間違いなく2022年の重大ニュースの一つなんだけど,そのときそのときのニュースで逐次的に追っているだけで体系的な理解がなかったので,勉強をしようと思ってこの本を読んだ. 戦争の背景や開戦までの経過が論理的かつ簡潔に書かれていて,かなり好感が持てる文章だった. こういうのを読むと文系の研究は不要なんて口が裂けても言えないね.

  • オデッサ・ファイルフレデリック・フォーサイス,1972)
    オデッサ」はウクライナ港湾都市のことではなくて,ナチス幹部の戦後の支援のために結成された秘密組織. ドイツの若いルポライター強制収容所での過酷な体験を綴ったユダヤ人の老人の日記を発見して,そこに出てくる強制収容所の長を追跡するという話. とにかく細部まで情報量が多くてものすごい取材をしてるんだな〜と感じる. これも話が面白いだけでなくて戦中・戦後のドイツ・イスラエルの歴史の勉強になる. 今,同じ作者の「悪魔の選択」を読んでるんだけどこっちも面白い!

映画

  • ドライブ・マイ・カー(2022)
    とりあえず今年見た映画では一番面白かったかもしれない. ネタバレなしで説明するのが難しいんだけど,過去に正しく向き合えっていうメッセージが好き.

  • すずめの戸締り(2022)
    新海誠,普通の映画で20分くらいかけるシーンを5分くらいでやってくれるから良い. 映像も良くて新海誠の映画に出た場所には行ってみたくなる. 話もかなり好きで,伝えたいことはドライブ・マイ・カーに似ているかな? 猫がかわいい.

  • 女神の継承(2022)
    韓国・タイ共作のフェイクドキュメンタリーホラー映画. 土着の宗教的な要素が強くてその時点でかなり好き. ホラーの演出も全体的にしつこくてねっとりしていてこれも好み. あとはフェイクドキュメンタリー特有の「お前霊に襲われてるのにカメラ回してる場合じゃないだろ」問題を解決してくれれば… 監督のナ・ホンジンの過去作は全部見たけどどれも面白かった.

  • ゴーストランドの惨劇(2018)
    マーターズ」っていうめちゃくちゃキツいことで有名な映画の監督パスカル・ロジェの作品. とにかく痛くて憂鬱なのでそういうのが無理な人は見ない方がいいんだけど,大丈夫な人にはおすすめ. 話のプロットに大きな捻りがあって面白いし,絶望的なシーンが多いんだけどそこに立ち向かう強さを感じる. 新作出してくれ

  • クリーピー 偽りの隣人(2016)
    「Cure」という映画がめちゃくちゃ好きなので黒沢清を見ようシリーズ.正直話はよく分からんっていうか崩壊気味な気がするんだけど,香川照之がヤバすぎてそれだけで見る価値がある.なんかヤバい悪役ってそっちばっかり見ちゃうな

  • パプリカ(2006)
    アニメとしても面白いんだけど,とにかく音楽が良すぎる.平沢進は天才.

  • ソナチネ(1993)
    北野武の昔の映画.「アウトレイジ」とかはコノヤローコロヤロー凄んでるだけに見えるのであまり好きではないんだけど,これはかなり良かった. 遊びと暴力の距離が近すぎるのが新しくて面白い. 「HANA-BI」も良かった.

  • デスプルーフ in グラインドハウス(2007)
    タランティーノの映画って刺さる映画と刺さらない映画の差が激しいんだけど,これはかなり良かった.前半も後半も好き.

  • 女優霊(1996)
    ホラー映画,話自体はそんな珍しい話ではないんだけどなぜかめちゃくちゃ面白かった.テンポが良くて演出が良かったからかな?

私とアンテナアメリカ関内店

数学とかアルゴリズムの話をよく書いているこのブログだが,今回はそれらには全く関係ない,ビールに関するポエムを書く.

皆さんはアンテナアメリを知っているか?

アンテナアメリカは株式会社ナガノトレーディングが運営している,アメリカのクラフトビールや料理が楽しめるビアバーで,現在は東京店・横浜店・品川店が営業している. しかし,このブログで話をしたいのは現在休業しているアンテナアメリカ関内店の話である. 関内というのは横浜駅から2駅の場所で,近くにハマスタや飲み屋街として有名な野毛がある.

自分はこの店舗が大好きでよく通っていたのだが,今年の3月から当面休業になってしまい,再開するのかどうかよくわからない(参考: 関内店 – Antenna America)という状況になっている. 初めてこのニュースを聞いたときはかなり衝撃的で悲しかったのだが,時が経てばまあ忘れるだろうということで4ヶ月が立ち,何故か先週の金曜日の朝起きた瞬間に「アンテナアメリカ関内店に行きたい!!」という感情が突沸した.しかし悲しいかな行くことはできないので,関内店に関するポエムを書いてこの気持ちをお焚き上げしようという次第である.

その出会い

僕がアンテナアメリカ関内店に出会ったのは,会社のおじさん(お兄さん?)から教えてもらったことが始まりである.

自分は東京の大学に通っており東京に住んでいたが,就職先が横須賀の南の南,この世の果てのようなところだったので横須賀中央に住むことになった. 学生の頃からビールが大好きで,特にビアバーに行くのが大好きだったので,社会人になって自由に使えるお金も増えたということで横須賀のビアバー,あるいは割とすぐに行ける横浜のビアバーを色々と物色していた.

そんな僕に対してその会社のおじさん(お兄さん?)はこう行ったのである,

「神奈川に住んでて横浜の関内のアンテナアメリカ行ってないのは,ヤバいよ

なかなか強い言葉である.これが神奈川のビール好きの総意なのかどうかはよく分からないが,こんなことを言われてしまってはビール好きの血が騒ぐ,行かねばならぬとなって関内店と出会うことになりました.そして通い詰めてしまうことになるのだった…

その魅力

関内店の魅力というよりも,そもそものアンテナアメリカの魅力というのがある.この点は東京店・横浜店・品川店でも同じはずなので(東京店には行ったことがないので分からないが),今でも体験できる.

まずはなんといってもそのビールの種類と安さである.タップがそもそもたくさんあるし,より重要なのは冷蔵庫に大量に入ったアメリカ輸入(?)の缶ビールである.冷蔵庫がめちゃでかいのでかいので量も種類も半端ではないし,頻繁に種類が入れ替えられているので毎回新しい発見がある.しばしばレアなビールも入ってるっぽい.ビールの好みは色々あると思うのだが,アメリカンIPAやヘイジーIPAが好きな人はここに来れば間違いないと思う.一時期ヘイジーにハマった時は狂ったようにここに来ていた.

食事も美味しい.バーガーやポテト,フライのようなアメリカンでジャンキーな食事がラインナップである.どれも美味しくておすすめだが,自分が推したいのはフライコンボ,特にその中に入っているハラペーニョである.何が良いって辛い,とにかく辛い,はちゃめちゃに辛い.見た目もししとうくらいにしか見えないので,知らずに食べたら大変なことになる.僕は割と辛いものが好きだし大丈夫な方だが,それでもしばらく悶絶する感じである.ただそれがビールに合う.辛すぎてビールを飲み,それでも足りずにビールを飲み,酔いが劇的に進行していることもしばしば…(だがそれが良い)

ここまでは関内店に限らず,アンテナアメリカ全般に言える良さである.これでも十分だが,関内店はこれ以上に大きな魅力がある. それは一言で表せば,あの雰囲気という他ない.

関内店の立地は目立つ場所ではない.これは主要な駅ビルに入っており人通りも多く目立つ場所にある他の店舗と大きく異なる点である. 関内駅から海とは逆の方向に歩き,特に目立ちもしない普通のビルに入り,エレベーターで5階に登ればそこにアメリカがある.あのまるで秘密基地についたかのようなワクワク感!中には海外の方がいることも多く独特の雰囲気が漂い,テレビで流れる横浜DeNAの試合はワクワクするものである.

そして最も重要なのはテラス席である.関内店ではビールをプラスチックカップに移し替えれば自由にテラス席に移動することができる. そのテラス席で青空の下,太陽の下で飲むビールを飲むことの清々しさ!!屋外で飲むとビールがまた一つ別の段階に到達することは,ビールを飲んだことのある人なら誰もが同意してくれるはずである.

テラスでビールに差す後光

テラス席は5階なので,周りの景色がよく見える.その景色が綺麗…かというと,それほど綺麗なものではない.寧ろ綺麗ではない寄りかもしれない. 周りに見えるのは雑居ビル,大きなマンション,雑居ビル,はるか遠くにかすかに見えるタワーマンション,雑居ビル… そんなものである. 横浜の風景といえば,みなとみらいや赤煉瓦や大さん橋に代表される,海と人工物の調和した瀟洒で広大な風景だろう. そのような景色は関内店からは全く見えない…

だがそれが良いのだ.それが本質的である. 土日を使って昼から飲もうとする,何なら有給をつかって昼から飲もうとする,そんなどうしようもない我々に必要なのはオシャンな景色ではない. そんな我々を迎え入れてくれるような,日常の気配に溢れ,けだるく,それでも人々の生活の力強さを俯瞰できる,あのアンテナアメリカ関内店5階からの風景なのである. 昼下がりの停滞・重い橙色の夕焼け・賑やかさと寂しさを湛えた夜の始まり,これらは他にはない,あのテラス席でしか味わえない感傷である.

テラスからの風景

さらに,アンテナアメリカに限らずあの一帯はビール好きには嬉しいお店がたくさんある. ピルスナーが充実していて他のビールの種類数が多い横浜ベイブルーイング,馬肉とビールの組み合わせが最高な254beer(今は白楽に移転してしまった,移転先もとても良い),スコットランド料理とスコットランドのビールが楽しめるワイバーン,その他野毛に行けばたくさんのクラフトビールと美味しい料理のお店がある.関内駅の反対側にいけば厩の食卓馬車道タップルームをはじめとした更にたくさんのビアバーがある.僕はあまりビールコミュニティに詳しくないのだが,偶然隣に座ってお話ししたおじいさん曰く,あのあたりで無限はしご編するのは横浜のビール好きの定石のようである.

終わりに

ただ一つのビアバーについてたくさん語りたいことがあるのは幸せなことである. 僕の20代後半は,アンテナアメリカ関内店と競プロらへんで特徴づけられてしまうのではないだろうか. 願わくば関内店には早く復活してもらいたいが,色々と事情もあるだろうと思うので,気長に待たせて頂きます.

2021年振り返り

もう年末ということで,2021年に自分に起きたことを振り返ってみようという日記です. 今まで数学的な内容の記事ばかり書いていましたが,たまにはこういうのも良いということでひとつ. 大して有益な情報はありません.

競プロ

アルゴリズムコンテスト

数年前からハマっていた競プロ,atcoderで黄色(レート2000↑)になることができました!

atcoderの黄色は上位数%くらいで,そこからは一番頻度の多いコンテストであるABCがレート変動対象でなくなる・色が寒色から暖色になるなど境目となる要素がいくつもあり,取り組む際の目標とされやすいランクです.

自分はレート1800くらいには割とすぐなれたので(1600→1800が2ヶ月くらい),「とりあえずサクッと黄色になってあとはのんびりするか〜」という感じだったのですが,まさかのそこから1800→2000に2年かかりました(?).1998とか1997になってそこから叩き落とされたり,一時期は1800を割ったりすることもあって「この壁,一生越えられないのでは…」と思うこともありましたが,なんとか達成できて良かったです.やはり人生諦めないことが大事ですね!!

ちなみに競プロで一番印象に残っている問題はMultiplication 3 (ABC169-C)です.kyopro_friendsさんありがとう…

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†教育†

またコンテスト中に解けて嬉しかった問題は123 Triangle (AGC43-B)です.こんな計算が高速にできてしまうの,まさに競プロという感じで良いですね.

ヒューリスティックコンテスト

今年の競プロの一つの大きなニュースとして,atcoderヒューリスティックコンテスト(AHC)が始まったことが挙げられます.ヒューリスティックコンテストは,普通のアルゴリズムコンテストとは違って厳密解を求めることが困難な問題において,できるだけ高いスコアを獲得することを目指すコンテストです. 今までは特に興味がなかったのですが,atcoderでレートが付くようになったので手を出してみたところとても面白く,結局今年のratedコンテストには全部参加してしまいました.

通常のアルゴリズムコンテストとは異なり,1つの問題に対して様々なアプローチが考えられ,アルゴリズム力で殴る人,焼きなまし職人になる人,実験データの分析を頑張る人,機械学習を使う人など,人によって特徴が出るのが面白いです.解法に多様性があるので,コンテスト後の「やったこと」ツイートを眺めるのも楽しいですね.

また,当たりの方針をうまく引くことができるとスコアが一気に上がるので,番狂わせが起きやすい気がします(体感). 今のABCとかはレベルが上がりすぎて初心者が良い順位を取るのは難しいですが,ヒューリスティックなら初心者でも上位に食い込める可能性はありそうです. 初心者にこそAHCをやってみてほしい.時間が短いコンテストはある程度の実装力が必要だったりするので,1週間くらいの長期のコンテストの方が良い成績が出るかも?(ただしハマりすぎて生活リズムが崩壊する危険性はあります…)

来年はAHCに力を入れてもっと上位,具体的には順位表1ページ目に入ることを目標に頑張っていきたいです.

その他

今年は競プロerとオンサイトで会う機会が何度かありました. 特に年末の競プロ忘年会では, Twitterもしくは順位表でしか会ったことのない方々にリアルで「初めまして」できたのが良かったです. 競プロの話をするのも楽しいし,競プロ以外の話をするのも楽しいですね.

来年は情勢次第ですがもっといろんな人と話したいです.一緒にお酒飲みましょう.

研究

自分は企業で研究者をしていて,論文を書いたりします. それに関連する今年の個人的大ニュースは9月にNeurIPSに論文がアクセプトされたことです.

NeurIPSは機械学習では最難関の1つとされる,かなり注目度の高い会議です. 色々な方におめでとうと言って頂いたり,研究内容を話す機会を頂いたり,周りの反応が今までの論文採択より明らかに大きかったので,改めてNeurIPSのプレゼンスの大きさを感じました.

NeurIPSには通したいとずっと思っていて,去年も一昨年も投稿したもののリジェクトされていたので喜びもひとしおでした. やはり人生諦めないことが大事ですね!!(2回目)

採択通知が来たときのことははっきりと覚えてます.朝4時くらいまでブレスオブザワイルドのマスターモードをやっててふとTwitterを見たら査読結果が出ているという情報を発見,急いでOpen Reviewのサイトに直行.徹夜テンションと極度の緊張がまぜこぜになって心臓が不規則に鼓動し手は震えていました.ああいう時間が最高ですね.今後も求めていきたい.

ちなみに競プロは研究にとっっっっっても役に立っています.フロー・DP使いまくり,imos法を使う場面もありました.実装に対する心の障壁は下がり,添字に混乱することも減り,空は晴れ渡り大地には花が咲いています.

ビール

今年はひたすらピルスナーウルケルにハマっていました.

ピルスナーウルケルというのは,日本のビールの主要なスタイルである「ピルスナー」の元祖となったチェコのビールです. じゃあ日本のビールに似ているのかというとあまり似ていなくて,苦味の中にカラメルやビスケットのような甘味があります. 僕はあまり甘いものが好きではないのですが,ピルスナーウルケルの甘味は苦味と素晴らしいバランスで調和していて大好きです. 度数もあまり高くないので†無限飲酒編†が始まってしまいます.

また,見た目も特徴的で,樽のような形の透明なグラスに泡がたっぷり入って出てきます. この泡が美味いんですよね.ほとんどが泡になっている(!?)ミルコという注ぎ方もあるくらいです.

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泡だらけのミルコ

注ぎ方や泡の状態が味に大きな影響を与えるので,お店で飲むのが大事です. ウルケルが飲める,個人的に好きなお店をいくつか挙げます.

  • 横浜ベイブルーイング(関内) www.yokohamabaybrewing.jp 横浜DeNAベイスターズの球団オリジナルビールを作ったりもしている醸造所のビアバー. 醸造責任者がピルスナー好きらしく,ウルケルも飲めるしベイピルスナーというオリジナルのボヘミアンピルスナーも美味しい. IPAとかホワイトビールも作ってて良い.

  • 内田日和(野毛) uchidabiyori.com 野毛にあるビアバー.ウルケルも美味しいし,スーパードライを三種類の注ぎ方で出していたり,日本酒も色々置いてあって良い. あとご飯がとても美味しい.特にポテサラが推しっぽい.店の雰囲気がおしゃれなのも良いところ. 上で挙げたベイブルーイングを含めこのあたりはビアバーが多いので,ハシゴすることで†無限飲酒編†が始まる.

  • WHY BEER? (代々木上原whybeer.storeinfo.jp ビールはウルケルしか出さないという気合の入った店.ウルケルに対する並々ならぬ情熱を感じます.ミルコも飲める. 料理が超絶美味い.まだ全部は食べれていないけど,とりあえず名古屋おでんが美味しいです. 八丁味噌入りまくり.

麻雀

大学生の頃に「打てなくはない」くらいのところまで行って辞めていたんですが,コロナのこともあって暇なので割と真面目に雀魂をやっていました. とりあえず雀豪までランクを上げて,後は友人戦をよくやっていました. 麻雀って基本的には運ゲーだと思うんですけど,その運ゲーがなんでこんなに楽しいんでしょうね.不思議.

最近は雀荘でセットで打つようにもなったんですが,あれはネット麻雀とは完全に別物ですね… チョンボもやってしまったし,後から思い返すとミスだったな〜ってのもかなり多いです. こっちも練習したいところ.

あと,麻雀ハマったついでにMリーグも見るようになりました.パイレーツとドリブンズ推しです.Mリーグは平日の3-4時間を平気で奪ってくるからヤバイ.

競馬

有馬記念三連単的中しました.ヒョ〜

ただし,この馬券は自分で買ったわけではなく,後輩が誕生日プレゼントとしてくれたものだったので,すごいのは後輩です. なぜか遊戯王カード・野球選手カード・いかがわしいカードもくれました.野球選手カードは矢野燿大原辰徳・中﨑翔太の3枚でした.ありがたいけどなんだそのチョイス.

読んだ本

劉慈欣の「三体」シリーズがとても面白かったです. もともと中国語で書かれたものを英語に翻訳して,それを日本語に翻訳したという経緯のSF小説です. 翻訳された小説は読みにくいことが多々あるのですが,三体に関してはそんなことはなく,全部で1500ページくらいを一気に読んでしまいました.

内容は何を言ってもネタバレになってしまうので,amazon にあったあらすじを引用しておきます.

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。 数十年後。ナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体〈科学フロンティア〉への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う。そして汪淼が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?

凄いのはクソデカい話のスケールとクソデカい作者の想像力です. 人間はここまで規模の大きい時間・宇宙の果ての果ての概観から細部までを想像できるのかと驚きました. 世界には凄い人がたくさんいるんですね. 自分はミステリをよく読む・SFはあまり読まないという感じですが,ミステリ好きにも刺さると思います.

2022年の方針・目標

  • AHCを頑張る.

  • Kaggleをやると言って3兆年経ったのでそろそろ手を出してみる.

  • 英語のリスニングの上達.NeurIPSのポスター発表で感じたんですが,とにかく聞き取れません.スピーキングは頑張れば伝わりはするんですが(スマートではない),リスニングに関しては聞き取れないとそこで試合終了なので厳しいですね.研究議論がスラスラできるレベルにはしたいものです.なにかいい上達方法とか教材とか知ってたら教えてください.

  • チェコピルスナーウルケルを飲む.情勢次第ですが行けたら行きたいです.プラハの街も散策したい.カフカとか読んどいた方が良さそう.グスタフ・マイリンクゴーレムは買ったけど積んである.

  • 雀魂で雀聖になる.名前がかっこいいので.

最後に

今年お世話になった皆様,ありがとうございました.来年もよろしくお願いします.

数式使わないとブログってこんなに書くの楽なのか…