私と理論

数学の話を主に書きます

2023年振り返り

去年に続いて2023年の振り返りをします. 特に有益な情報はなさそうです.

博士号取得

博士号とりました.詳細は別の記事に書いてます. theory-and-me.hatenablog.com

博士号取ったことによって人生はあまり変わっていませんが,長年の懸念事項が解消するのは気分が良いです.

仕事

論文に関してはAAAIという国際会議に2本論文が通りました(うち1本が主著). 長いコロナ期間を経て久々に現地出張で発表できるので楽しみです.

主著の論文の方は,2年前くらいに研究テーマの方向性を変えてから初めてそのテーマで通った論文です. とりあえずこれがアクセプトされたことで新しい研究テーマの第一歩が踏み出せたという実感があり,ほっとしています. 多くの論文ってアクセプトされる頃にはこれ自明かもしれんな〜と自信がなくなりがちですが,この論文については未だに自信満々です. 日常生活に結びついたキャッチーさと数学的な深さが絶妙なバランスで融合しています(自画自賛). 良ければ読んでみてください.

論文以外では,OR学会の研究部会で2時間くらい喋ったり,人工知能学会全国大会の委員をやったり,大阪大学の非常勤講師をしたりと対外的な新しい仕事ができたのが良かったです.自分は社外に対するコネが弱いなと思うことがあるので,来年も積極的に外部と関わっていきたいですね.

競プロ (AHC)

2089→2189 でした.見事に停滞してますね… 周りのレベルが上がっているというのはもちろんあるのですが,今年のコンテストでは当たりの方針をあまり引けなかったと感じています. 引き出しがまだまだ足りないのと,順位表からうまく情報を拾えていないのが原因かもしれません.

とはいえ Asprova コンやトヨタオンサイトで割と良い順位がとれたのは良かったです. 特にトヨタオンサイトは,初めての方々にたくさん会うこともできて楽しかったです.

今年はマスターズというチーム戦もあるので成功したいですね… 今年はもっとAHC精進します.

旅行(ビール)

博士号を頑張って取ったんだし今年は一杯遊んでいいだろう,コロナで全然海外行けなかったし海外でビール飲みたいということで,台湾とヨーロッパにビールに行きました.

ヨーロッパのことは別記事に書きました.端的にいうと最高でした. theory-and-me.hatenablog.com

台湾のビールは最近日本でもかなり流行っていて,最近だと代々木にXIXI TOKYOができたりしてます. フルーツ系で酸っぱいビールが多く,僕はこういうタイプはあまり好きではないのですが,まあ行ったら分かることもあるだろうということでとりあえずGO. 結果としてはとても良かったです. ビールは勿論,食事も美味しいのが重要ですね.

あと台湾は野球観戦がめちゃくちゃ楽しいので是非行った方がよいです.応援歌がカッコ良すぎる.

台湾とヨーロッパに行ったことで満たされたかというと実はそんなこともなく,寧ろもっと海外に行きたくなってしまいました… 次はダブリンでギネス・アイラ島ウイスキー・スペインでワインのいずれかで! 同行者募集してます.

今年の目標の振り返りと来年の目標

2023年の目標

  • AHC 橙 → 狙ったけど達成できず
  • Kaggle やる 一つのコンペでもいいからフルで参加する → 達成できず この目標の存在を忘れていた
  • オンライン英会話をとりあえず3ヶ月は継続する → 達成できず この目標の存在を忘れていた
  • チェコでウルケルを飲む → 達成!飲みまくった
  • 雀聖2になる → 達成できず 途中まで順調だったけど,今年の後半にやべー下振れを引いて大変なことに 打数も足りてなさそう

昨年に引き続きこいつ何も目標達成してないな.

2024年の目標

  • トップカンファレンスに論文2本以上
  • AHC 橙
  • Kaggle やる 一つのコンペでもいいからフルで参加する
  • オンライン英会話をとりあえず3ヶ月は継続する
  • 雀聖2になる

印象に残った本,印象に残った映画

ネタバレ注意.

  • 悪魔の選択(フレデリック・フォーサイス,1982)
    今年読んで一番面白かった本. ソ連で発生した穀物危機を発端に,ヨーロッパ戦争危機・KGB議長暗殺・テロリストによるタンカー占拠などを通してアメリカ・ソ連・ドイツ・オランダ・イスラエルウクライナの思惑が複雑に絡み合う.最後に笑うのは誰か? サスペンスとして単純に面白いし,自分が知らない冷戦時代を追体験できるという意味でも良い. めちゃくちゃオススメ.

  • 八つ墓村横溝正史,1971)
    今年読んで一番面白かった本2. 八つ墓村といえば映画が有名で,おどろおどろしい雰囲気の中で祟りが飛び交うオカルト・ミステリという印象だったんだけど,小説は全く異なる. 原作である小説版八つ墓村は,異世界転生ものであり,ハーレムものであり,冒険小説であり,爽やかな青春小説である. 映画しか見たことがない人はぜひ読んでみて欲しい. 八つ墓村がとても気に入ったので同じ横溝正史の「本陣殺人事件」「獄門島」を読んでみたけど,あまり好みではなかった. 自分はミステリに人間ドラマを求めていて,謎解きを求めていないんだと思う.

  • パラサイト・イヴ瀬名秀明,1995)
    昔から有名なホラーとして気になっていたので. 人類に抑圧されてきたミトコンドリアがブチ切れて反乱を起こす話. この時点で面白い. 終わり方があっさりだったのがちょっと残念. 著者が博士課程在学中に書いたという事実が一番のホラーかもしれない. 確かに言われてみれば研究者っぽい文章な気もする.

  • 邪魅の雫京極夏彦,2006)
    自分は京極夏彦百鬼夜行シリーズの大ファンで,特に「魍魎の匣」「鉄鼠の檻」「絡新婦の理」あたりは何回読んだか分からないくらい.しかし,シリーズ中唯一この本だけドロップアウトした(当時高校生).しかし17年ぶりに新作「鵺の碑」が出るとのことで一念発起,10年ぶり以上に挑戦した.が,結果としてめちゃくちゃつまらなかった.自分の読書史上一番つまらなかったまである.1000ページ近くにわたって,ぽっと出の特に魅力のないおじさんの辛気臭い独白を読まされるのは非常に厳しい.昔の百鬼夜行シリーズはあのとんでもない長さに十分に意味があったが,この本は半分くらいにした方が良いんじゃないかな…(それでも面白くないけど)

  • 鵺の碑(京極夏彦,2023)
    邪魅の雫」で嫌な予感がしていたが,気を取り直して新作であるこの本を読む.結果としてはこれもつまらなかった.大したことが起きるわけでもないのにページ数が多すぎるので,とても冗長に感じる.でもこれはもしかしたら僕が変わってしまったのかもしれない.というのも,論文という形式は冗長な文章を嫌い簡潔な文章を好むので,僕の脳もそれに最適化されてきている.昔の僕はもう少し冗長さを楽しめたのかな…とふと悲しくなったが,まあこの本が面白くないことは変わらない. 偶然見つけた「このミステリーがすごい!2024」で国内2位になってたけどみんなちゃんと読んでるんだろうか(今年が不作?). 京極堂たちの旧友らしい,ラノベに出てきそうな女性キャラが突然出てきて笑ってしまった. 百鬼夜行シリーズ,次のタイトルも決まっているらしいので,今度こそは面白い小説を読ませて欲しいな〜

  • 夜市(恒川光太郎,2008)
    有名なホラーの賞をとっていたのと友達に勧められたので. ホラーというより幻想小説っぽい. 文章が良い. 終わってしまえば本当にあったのかどうかよく分からなくなってしまうような夜の話. 同じ本に入っていた「風の古道」も良い.こっちの方が好きかも.

  • 推し、燃ゆ(宇佐見りん,2021)
    タイトルが面白かったので.推しを熱烈に推す女子高生の話.彼女の毎日の生きづらさの描写が苦しい. 正直,自分は主人公と思考も嗜好も環境も何もかも異なるので共感は全くなかったが,こういう人もいるんだなと勉強になった(?)

  • 消されかけた男(ブライアン・フリーマントル,1979)
    スパイもの.英国諜報部で干され気味の主人公スパイが,生き残るために奮闘する話. 最近(?)流行りの追放ものというのは普遍的なものなんだなと思う.見返したときのカタルシスがすごいので. しかしこの主人公は本当にやり過ぎで笑ってしまう. とても続編があるとは思えない終わり方をするのに続編があるらしく,読みたい.

映画

今年は映画をあまり見てないかもしれない.

  • 白いリボン(2009)
    第一次世界大戦直前のドイツの小さな村で発生する,不可解な事件の連続を描いた映画. 明確な答えは提示されず,渦巻く不穏と抑圧がじわじわと嫌な気分にさせてくれる. ドイツの歴史の中に位置付けて見ても良いし,普遍的な家族や隣人の物語として見ることもできる. 難しいけどとても面白い映画.

  • オオカミの家(2023)
    気になっていたので. 全編ストップモーションアニメ(ニャッキ!みたいなやつ)で描かれる悪夢. 映像は凄くて面白いんだけど,物語があまり大きく展開しないのと音声が催眠術っぽいことによりめちゃくちゃ眠くなった. 家でゴロゴロしながら見た方が気楽で良いかもしれない. 同時上映の短編「骨」もなかなか良かった.

  • ツィゴイネルワイゼン(1980)
    オオカミの家を見に行った時にリバイバル上映の宣伝をしていたので. 今年見て一番衝撃をうけた映画,説明が難しい. ストーリーはあるようなないような,登場人物は怪しいのばっかり,上映時間は2時間超え,なのにめちゃくちゃ面白いという謎の映画. それぞれのシーンの絵がとても強いんだと思う. あんなに大量にこんにゃくをちぎっている人を初めて見た.

  • 自殺サークル(2002)
    評判があんまり良くないけど個人的には面白かった枠. ROLLYが出てくるところは笑ってしまう.